女性人権機構は女性が直面する人権問題に取り組み、
問題解決を目指す団体です。
【2023.3.3】どうする、日本のジェンダー平等戦略
特定非営利活動法人女性人権機構の再出発記念のシンポジウムをオンラインで3月25日(土)に開催しました。シンポジストに大沢真理東京大学名誉教授、三輪敦子アジア太平洋人権情報センター所長をお迎えしました。
第一部はシンポジストからの講演、第二部は質疑応答でジェンダー平等への道筋のヒントについてお話をいただきました。
タイトル「女性を罰する社会? 少子化は当然の帰結」
昨今の日本は女性を制裁する感情や女性嫌悪社会が目立ってきているようだ。この問題に対して、「出生数」「貧困率」「所得および賃金」「コロナ禍の死者数」の統計から社会や慣行が女性を罰している現状を語っていただいた。日本の年齢階層別貧困率については、高齢者層が欧米と比較して高いこと、女性の年齢階層別の貧困率でも高齢者と20代前半で高いという集計が出ている。特にシングルマザーの貧困率はOECD諸国の中でも最悪。コロナ禍では高齢者の死亡者が目立っていたが、コロナでの入院については男性を優先しているシステムもあり、特に、高齢者施設での女性の死亡者数は男性を上回っていた。また、コロナ禍で経済が停滞し、女性の自殺者も増えた。いまや、日本は女性が幸せに暮らせる国、にはなっていない、女性を罰する社会なのかもしれない、とのお話をいただいた。
大沢真理さん プロフィール
東京大学名誉教授、東京大学社会科学研究所所長、元東京大学副学長を歴任、経済学博士
タイトル「SDGsからみたジェンダー平等の課題を語る」
「G7サミット」に合わせて開催されている「W7」についてと4月に開催される「W7サミット2023」の活動のお話しをいただいた。「W7」とはG7の行動や議論がジェンダー平等の視点が主流化されることを目指しており、2018年カナダサミットからスタート、当時、カナダ・トルドー首相も会場に来場し、意見交換を行った。その後の2019年フランス、2021年英国、2022年ドイツ、と定着している。今年のW7は2022年12月に立ち上げ、アドバイザリー制を採用し、グローバルサウス、ユースなど含め、世界から応募があり、5つのワーキンググループに分かれ、提言をまとめた。今年のスローガンについて、5つのワーキンググループのテーマについて、G7には拘束力がなりため、限界がある点、また、SDGs目標5(ジェンダー平等を達成しよう)に対する本年の実施指針改定についてもお話しいただいた。
三輪敦子さん プロフィール
アジア太平洋人権情報センター所長、SDGs市民社会ネットワーク共同代表理事、関西学院大学SGU招聘客員教授
本シンポジウムの感想、ご意見(一部抜粋)
・有意義なシンポジウムに参加する機会をいただき、ありがとうございました。エンゲージメントグループの活動(役割)に関するお話を特に興味深く伺いました。
・大沢真理さんの話は統計に基づいた内容で、説得力があり、とても良かった。
・経済視点から女性の現在についてのお話を伺うとやり切れない感がしました。W7はやはり、前を向こうと思えるお話でした。
・質疑応答において、国のあり方が見えた感じがしました。人権が獲得できていない女性や少数派がいる日本で、(中略)市民レベルでのジェンダー平等の行動につなげたいと思います。
・日本におけるジェンダー平等に関するもっとも喫緊な課題と対処について明快なお話が伺えた。
今後、扱ってほしいテーマは?
・ジェンダーの視点からみる少子化問題
・Z世代のジェンダーなど、世代間の意識
・戦争と女性
・女性と法、日本の抱える課題
・防災に関わる女性や多様な人々の人権について
アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
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